まちを通る風を感じて

防災・復興まちづくり研究者,市古太郎のBlog

過去Log2017/4月〜2019/3月


2020/03/21(土)郊外斜面住宅地におけるを土砂災害リスクをめぐるリスクコミュニケーション

 研究室として2017年度から,八王子市絹ヶ丘一丁目のみなさんと,地域防災の取組みを続けています.

 開始当初は,多摩直下型地震を想定した震災ハザード対応だったのですが,2年目後半あたりから,土砂災害リスクについても検討を進めてきました.

 2014年8月広島土砂災害,2018年西日本豪雨,2019年台風19号など近年の斜面住宅地の大雨時土砂災害も影響しているようにも思います.

 土砂災害特別警戒区域/警戒区域は東京都が調査に基づき工学的視点から指定するもので,地域として,まちづくりとして対応していくことは躊躇しながら,ではあったのですが,2019年度に市役所も交えて3回のワークショップを開催しています.

 リスクかもしれないが,まちの大事な風景・ランドスケープ資源でもある,地域の方と対話をする中で,改めてそんな思いを強くしています.

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2019/11/04(月)TEDxWeekend Taipei

 TEDの開始10周年として開催されたTEDxWeekend,アジアでは台北のみ開催の企画にて,プレゼンテーターとして参加させていただきました. Conferenceの様子は,こちら

https://tedxweekendtaipei.wixsite.com/2019/orientation

 日本からは,野村総研海外事業部の部長さん,ソフトバンクの副社長,元GoogleJapanの鈴木さんなど,時代を引っ張るメンバーが参画.いただいたテーマは,Commnutiyだけでなく,Urban, Regionの視点から,Resilient Planningの意義を語ること.十分にご期待に添えたか,心元ないのですが,去年のIPHS in Yokohama, を中心に,考えてきたことと重なり,改めて深める機会になりました.そのエッセンスは,すでに7月に発刊された年報「造景」の執筆論考で表現させていただいたところ,でもあります.

 2年ぶりの台北でしたが,TEDxのWalking Tourを含めて,まちをじっくり歩いたのは久しぶり.
 すっかり,Walkableになり,保全と開発をうまく組み合わせて「都市再生」を成し遂げつつある,という印象.
 馬士元さんはブランチの際「MRTネットワークが充実されたことが大きいのでは」と指摘していたが,確かに,老若男女「まちに出て,まちを楽しんでいる」その環境整備があってこそ,なのでしょうね.

 TED参加者の若さあふれるパッションと,台北の「熱さ」,魅了する旅になりました.

 

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2019/09/15(日)JCAABE秋季セミナーにて

  2019/9/9の夕方,JCAABE(日本建築まちづくり適正支援機構)秋季セミナー(於:日本建築家会館)にて,話しをさせていただきました.

 震災復興まちづくり訓練から減災まちづくり事業へ,ここ1年くらいの実践と研究で,提案としては精度が上がってきた手応えを感じています.この間,世田谷区での職員復興セミナーや,『年報造景』への寄稿,『建築と社会』(日本建築協会)への投稿を経て,思考も深まってきました.
 引き続き,事前復興まちづくり手法の体系化,言い換えれば,災害を仮構してプランニングを進める,営みについて,切磋琢磨していきたいと思っています.


2019/08/20(火)NPO多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議

 NPO多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議 第156回『木曜サロン』(9月)のご案内
テーマ: 災害からの回復力のあるコミュニティをつくる—多摩地域でのアクションリサーチから—

 東日本大震災から9年目に入りました.首都大学東京災害復興・都市防災研究室では,気仙沼階上地区での住宅移転+集落生業現地再建の支援活動を「寄り添うプランニング」として実践してきました(WEB公開されている,災害復興学会誌第19号,2017年7月もご覧ください)。
 今回のサロンでは,東北および熊本支援で見えてきた教訓を「首都直下地震へのフィードバック」という視点から提起した上で,「回復力のあるコミュニティをつくる」という視点からの八王子市上柚木地域青少年育成会での学校-地域防災活動,および絹ヶ丘一丁目町会でのアクションリサーチ結果を話題提供できれば,と思ってます。
■講師:  市古 太郎(いちこ たろう)さん(首都大学東京 都市政策科学科 教授)
■日時:9月26(木) 19時~21時
■場所:すくらんぶる~む(諏訪商店街)206-0024東京都多摩市諏訪5-6-3-102
     連絡先電話:042-373-6822(松原)
■参加費(懇親会含む):会員1000円(学生会員 500円)
             非会員1500円(一般学生 1000円)
           ※懇親会に参加されない方は500円


2019/03/07(木)減災まちづくりvia事前復興まちづくり

 小平市都市計画課主催の「小平まちづくりフォーラム」で,防災まちづくりの話しをする機会をいただきました.

 1月には,小平市スタッフのみなさんと小平市内で2016年3月の「東京都防災都市づくり推進計画」において,初めて「木造住宅密集地域」と判定された市内5箇所をフィールドワークし,意見交換を踏まえて,準備をしてみました.
 その中で,最近,注力している,事前復興まちづくり訓練から,事前対策へのフィードバック,について,計画論的には,「減災まちづくり」というフレーム付けが適切ではないか,と思い至っています.もう少し,深掘り議論を進めていきたいと思っていますが,小平市の市民のみなさんとの応答,楽しみにしてます.

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2018/07/19(木)IPHS(国際都市計画史学会大会) in Yokohama

IPHS(国際都市計画史学会)の2年に一度の大会にご縁があって,参加させていただく.Titleは,
・Outcomes of community-based relocating recovery as regards to recovery planning theory.
 気仙沼階上での復興まちづくり支援を改めて「都市計画学」の理論に位置づけていこうという発表.その中心的な構図は,

(1)日本における復興都市計画は,都市と地区のスケールから構成されてきた(1923年関東大震災,1995年阪神淡路大震災

(2)都市と地区のスケールに加えて「建築」ないし「場所」のスケールの3つで建造環境の復興計画が構成される.

(3)民間都市計画家が貢献できるのは,地区のスケールで,再建者・行政と「復興の主体」を構築した上で,プランニングをしていく領域にあるのではないか.この点の証左として,気仙沼階上での小集団自力再建まちづくりを提示したい.

(4)気仙沼の達成し確認できた点として,
 ①被災者中心原理に基づく復興主体の形成
 ②空間デザインゲームなど平常時の「参加のまちづくり」手法の有効性
 ③小さな「みんなの空間」づくりの重要性.

(5)都市・地区・建築のスケールで言えば,地区の空間形成を共有することで,個々の再建者の建築,についても視野が広がったり,賢く家を建てる,ことにつながった.言い換えれば,地区→建築に対して,設計アイディアやその建築に対するプログラムの材料を提供しうるのではないか.一方で,地区→都市という大きなスケールへのコミットメントは,躊躇せず提案したり,もう少し工夫できる点が少なくなかったのではないか.それは,三陸沿岸地域の7年目の風景から,都市計画研究として考えなければならない点ではないか.

 でした.最後の点に関連して「喪失感( sense of loss)」,というコメントもいただくなど,次への展開につながる場となりました. 

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2018/06/14(木)JVOAD連携セミナー:東日本大震災での広域避難の分科会

 災害時の民間部門(NPO/NGOに加えて民間法人一般)の連携力を高めようと,U.S.のNVOADも意識して2015年に設立されたJVOAD(特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク),3回目となった全国フォーラム(2018/6/12-13)に600人近い参加があり,分科会3:東日本大震災における広域避難者支援,にパネリストとして,参加させていただきました.  広域避難については,2017年度より,明治大学専修大学首都大学東京,東京都で勉強会を立ち上げて検討を進めていたところでしたが,分科会では下記の3点,ポイントとして感じました.
(1)「広域避難」を論じる際,その指していることが幅広いことに留意すること.おそらく,原発事故と自然災害の広域避難は,分けて考えた方がスッキリするが,東日本大震災では津波被災による広域避難と原発被爆からの広域避難が避難者数調査も含めて一体となっている.
(2)「自主避難」という用語を使い続けていくことの是非.森松明希さんからは「子どもを,家族を守るために,たくさんの葛藤を抱えながらも,現実に向き合い,自らの意思で行動した」という多くの福島からの広域避難世帯に対して「自力避難」という表現もご提案がありました.
(3)この2点目の論点に関連して,広域避難支援を考案していくにあたり,災害救助法にある被災者の「保護」と考えるのか,災害による喪失からの合理的な「ニーズ」としてとらえるか,それとも,「一人ひとりがそれぞれのやり方で,被災から回復していく権利があり,被災者が自分たちのペースで回復していくそれぞれの営みを尊重すべき」という「人権」として考えるのか(分科会パネラーであり「大災害と法」の津久井進先生から,事前Mtg含めて多くの示唆をいただきました),という論点
 引き続き,首都大学東京 都市防災・災害復興研究室としても検討を深く掘り下げていきたいと感じています.
 全体会含め,圧倒的な情報量で,また,気仙沼や東海地方のProjectでお会いした方との再会もあり,大変に濃密な1日を過ごさせていただきました,ありがとうございます.

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2018/05/15(火)熊本地震2年集落再建実態調査

 2016年4月の地震から2年.
 西原村を中心に,集落と生活再建の実態を研究室として調査.
 大切畑では,区長さんら若手リーダーと懇談させていただく.数々の試練を乗り越えて,外からの刺激も受けながら,でも,自分たちの集落らしさ,集落で磨くべき資源を見つめ直し,集落再建を組み立てようとされている.
 基盤整備を中心とした小規模住宅地区改良事業も,実施の見通しが,住民リーダーレベルでも立ちつつあるようだ.また,熊本県庁知事公室,西原村社会福祉協議会,御船町支え合いセンター,御船町YMCAのスタッフと,それぞれ,意見交換させていただく機会を得た.東日本よりも制度的に発展している面がありつつ,現場では「よりよい復興」に挑み,その中で課題に立ち向かわれている.
 改めて,研究室一同,いろいろと学ばせていただく場となりました.

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2017/12/01(金)都立大の研究者が挑む「3つのシティ」[鼎談]

 大学のリサーチ・アドミニストレーション部隊のコーディネートで燃料電池を中心としたエネルギー問題研究の宍戸哲也先生,渋谷のデザイン実践でもご活躍中の菊竹雪先生と鼎談させていただく(進行は首都大URA室の柴田徹さん).鼎談だからこそ,の話題も飛び出しました.  よろしければ,ご覧ください.
 首都大の研究者が挑む3つのシティ:スマートシティ×ダイバーシティ×セーフシティ

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2017/10/02(月)サンフランシスコでの事前復興Project調査

 2017年度より,科研費の助成もいただき,日米の事前復興まちづくりの比較研究を本格的に進めています.2017年9月はサンフランシスコ市の取り組みについて現地を訪問し,関係するキーパーソンから話を聞く機会を得ました.

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2017/08/18(金)高校生向けオープンコースウェア: 災害社会論

  2017/7/16の首都大学東京大学説明会で担当した高校生向け模擬講義:「災害に強い都市と社会をつくる」の部分映像が公開されました.よろしければ,ご笑覧ください.
http://ocw.tmu.ac.jp/ja/courses/20/lectures/80

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2017/07/13(木)豊島区長崎四丁目まちづくり協議会設立総会

  2017/7/12に開催された,豊島区長崎四丁目まちづくり協議会設立総会に出席し,
「生活文化」の視点からの防災まちづくり-2016年長崎4・5・6・丁目地区震災復興まちづくり訓練で教えていただいたこと-」
 として,話題提供をさせていただいた.
 昨年度のリノベーションまちづくり関連の調査結果も交え,今後の協議会活動に少しでも参考となる材料が提供できたのでは,と手応えも感じました.

 復興まちづくり訓練のその後のフォローアップという点でも,感慨深いものがありました.

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2017/06/12(月)東京都:女性の視点からみる防災人材の育成検討会議

 2017年6月に東京都が設置した「女性の視点からみる防災人材育成検討会議」,平たく言えば「女性の視点からの」アンド「男女共同参画の視点からの」防災の取り組みについて,東京都としてもプロモーションしていくための戦略会議,ということになりましょう.
 調布市男女共同推進センターでのサポート(2014-2016)や,八王子上柚木地区での取り組み(2014〜),葛飾区での震災生活再建策の検討や女性の視点からの防災ワークショップ(2016)に関わらせていただく経緯もあり,上記会議に出席させていただくことになりました.
 初回は各委員からの「プレゼンテーション」が実施され,私は「しなやかな回復力のネットワークで災害に備える」というフレーズで,話をしました.ここ5年くらいの取り組みと,Disaster researcにおけるResiliency論の展開を踏まえての問題意識でした.
 次回以降「女性リーダーとは?」を中心に,討議が重ねられていく見込みです.
 議事録等,下記に公開されています.
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/tonarigumi/1003885/1004384/index.html